冗長的/誤った表現はさけましょう

文章を書く時、伝えたいことが多かったり、過剰に丁寧に説明しようとして、かえって伝わりにくい文章になってしまうことがあります。こうした「冗長的な表現」や、「日本語として誤った表現」に関して見ていきたいと思います。

まず「冗長」とは、
「文章・話などで、無駄が多くて長いこと」
を指します。

この冗長表現は、文章が読みづらくなり、誤解につながる場合があります。冗長表現を省く、あるいは他の表現に置き換えれば、文意が明確になります。

「冗長表現」を理解し、誰が読んでも読みやすい文章になるよう心がけましょう!

では、日頃よく見かける冗長表現を紹介していきましょう。

同義の語が重複した表現

同じ意味を持つ語句をつないで使用する必要はありません。

(例)冗長表現 → 正しい表現

まず最初に → 最初に
完全に一致 → 一致
執筆することができます → 執筆できます
車の運転を行います → 車を運転します
業務の改革を実行します → 業務を改革します

上記のように同義語、または類義語など重複する意味合いの語句を並べるのは「冗長表現」です。
強調したい気持ちは分かりますが、伝えたいことは簡潔に表現しましょう。

簡潔な言葉に置き換えられる表現

文章表現として丁寧に書いたつもりでも、読み手にとっては読みづらかったり、意味を取り違える可能性があります。

(例)
ライターの仕事というのは、文章を執筆することです
→ ライターの仕事は文章の執筆です
存在する → ある
しないことはない → する

上記のような表現は、執筆の際使ってしまいがちです。
決して間違いではありませんが、文章表現としては良くないので、注意してみましょう。

過剰敬語

丁寧を意識するあまり、どうしても過剰な表現になってしまうことがあります。

(例)
当社のホームページになります → 当社のホームページです
ご質問させていただきますご質問いたします
※「〜させていただきます」は、第三者の許可を得る場合は使用する場合があります。
ご質問いただければと思います → ご質問ください
私は英語をうまく話すことができます私は英語をうまく話せます
誠心誠意努力していくつもりです → 誠心誠意努力していきます
皆様の報酬に直結すると思います → 皆様の報酬に直結致します

敬語は、失礼の無いよう普段より言葉を多く飾ってしまいがちですが、それが読みづらさや「冗長表現」につながっています。
逆にかしこまり過ぎると、失礼にあたる場合もありますので、注意して執筆しましょう。

口語体表現に気を付ける

執筆の際は頭の中で考え、組み立て、時には声に出して文章を考えることが多いです。
その為、文章にも「口語体」がでてくることがありますが、同じ内容でも【聞く言葉】と【読む文章】では表現の仕方が違います。

(例)
それゆえ / 〜したがゆえ → 基本的に使用しない
結果 → その結果
なので / だから → そのため
ご来店いただくかたちになります → ご来店いただきます

話し言葉をそのまま文章に用いることは、会話文でない限りそうそうありません。上記のように、一般的に使っていると思われる表現も、「冗長表現」の1つとして捉えられます。

「〜が」の使いすぎに注意!

文章が長くなる原因のひとつが、接続助詞「が」の使いすぎです。
「〜が」は逆説の意味や、ふたつの句をつなぐ役割があります。
逆に考えると「が」があれば、文章をつなげ続けることができてしまうのです。

まず、下記が悪い例です。

今日の晩ご飯は何を作ろうか考えていましたが、特に思い浮かばずスーパーに行ってみましたが、結局何を作ろうか思い浮かばなかったので、どうしようかと困っていましたが、外食することになったので何も買わずに帰ってきました。

「が」が多すぎて非常に読みづらく、意味を読み解くのに時間がかかります。
このように「が」を多用して一文で構成されてしまうと、文章として成立せず破綻してしまいます。

下記に良い例を挙げます。

今日の晩ご飯は何を作ろうか考えていましたが、特に思い浮かばずスーパーに行ってみました。
しかし、結局何を作ろうか思い浮かばなかったので、どうしようかと困っていたところ、外食することになったので何も買わずに帰ってきました。

大きく改善したのは、文を複数に分けたことです。それに伴い「が」の使用頻度が減りました。
先ほどと比べると、非常に読み易くなりましたね。

執筆中、一文の長さが気になる方は、「が」に注意して執筆しましょう。

日本語の誤った表現に気をつけよう

最後に冗長表現とは別に、「間違えやすい日本語表現」や「日本語の書き間違い」を見ておきましょう。

【 間違えやすい日本語・送り仮名など 】

(例)
言う事を聞け! → 言うことを聞け!
話しをする → 話をする
やむおえない → やむをえない
ざるおえない → ざるをえない
なおざりな謝罪のことば → おざなりな謝罪のことば
対策がおざなりにされた → 対策がなおざりにされた
わたし的には → 私としては / 気持ちの上では / 内容に関しては

「事」は、事件・事態など名詞として実質的な意味を表す場合に使います。
また、「こと」は、形式名詞として、形式的な意味を表す場合に使います。

「話し」は、主に話すという動作について使います。
また、「話」は、名詞として、主に話された事柄の内容に使います。

「おざなり」は、いい加減だが一応物事をするという意味。
一方「なおざり」は、無視してほうっておくことを意味します。

「わたし的には」は、厳密に言うと間違いではありませんが、読み手にとって正しく伝わらない場合があります。


【 間違いやすい日本語 】

(例)
・「意思」は自分の思いを指し、「意志」は積極的な心のあり方を指します。
・「元日」は1月1日、「元旦」は元日の朝を指します。
・「(歌の)さわり」は、イントロではなく、サビのことを指します。
・「制作」は自分で考えてつくることを指します(芸術系)。
 「製作」は物を製造する場合に使います(工業系)。
・「特徴」は目立つ点を指し、「特長」は目立つ長所を指します。

番外編①【 間違えやすい接客言葉 】

(例)
こちらアイスコーヒーになります → こちらアイスコーヒーでございます
水のほうをお持ちしました → 水をお持ちしました
トイレは左のほうでございます → トイレは左にございます
お召し上がりは店内でよろしかったでしょうか?
→ お召し上がりは店内になさいますか?
お連れ様がお待ちになっております → お連れ様がお待ちになっておられます
何か質問はございますか? → 何か質問はおありですか?
ファンの皆様に感動を与えたいです → ファンの皆様に感動していただきたいです

いかがですか?つい使ってしまう接客言葉ばかりでしたね。
執筆の際も、接客言葉を使うことがある際は、気を付けるようにしましょう。


番外編②【 間違えやすいビジネス言葉 】

(例)
(社外の人に)〇〇社長が → 〇〇が
ご苦労様です → お疲れ様です
お客様がそう申しておりました → お客様がそうおっしゃっていました
資料は拝見されましたでしょうか? → 資料には目を通していただけたでしょうか?
先日私がお行きした際には → 先日私がお伺いした際には
どうしますか? → いかがなさいますか?
いいですか? → よろしいでしょうか?
すみません → 申し訳ございません
すみませんが → 恐れ入りますが
できません / やれません → いたしかねます
知りません → 存じません
わかりました → かしこまりました / 承知いたしました

執筆の際に使うことは稀でしょうが、基本的なビジネス用語を見てきました。覚えておいて損はなので、接客言葉同様、頭の隅に置いておきましょう。


ここまで「冗長表現」や「正しい日本語の表現」を見てきました。知らなかった表現もあったと思います。こうしてみると、日本語は英語を覚えるより難しいのかもしれません。ただ、日本人に生まれたからには、正しい日本語を喋る・書くことができるようになっておくことは、今後の人生に大きく影響してきます。

正しい表現で記事を書き、読みやすい記事を執筆できるように心がけましょう!